信託監督人等事後支援の必要性

信託監督人がお勧め

事後支援の必要性と、事後支援の3種の形式についてご説明致しました。では、どの形式による事後支援が望ましいかですが、信託監督人の形が、安全性とコストの両面からお勧め致します。

アドバイザーでは安全性に欠ける

 事後支援の必要性としては、大きく分けて、①契約書モニタリングの必要性、②受託者業務の助言・指導、③適正な管理の担保の3点があるわけですが、受託者のアドバイザーという形では、適正な管理の担保が出来ません。受託者のアドバイザーの形は、受託者側の立場につき、受託者に対して助言することとなるためです。
 ③適正な管理の担保を含めた支援の形は、受益者代理人か信託監督人のいずれかの方法によることとなります。

受益者代理人は費用がコストが高い

 受益者代理人を外部専門家等に依頼すると、後見相当の報酬(下図)が必要となると考えられます。受益者代理人の業務は、先に説明した通りですが、認知症対策を主目的として家族信託を行う場合、信託契約上の目的に、受益者の福祉や生活の確保といった文言を入れるのが一般的です。この場合、受益者代理人がその業務を行う前提として、受益者の生活状況の確認をする必要性が生じると考えられるためです。例えば、受益者給付内容として、受益者の求めに応じた金銭給付があった場合に、これを受託者に請求するかの判断材料が必要になるということです。そうであるならば、報酬としては、後見相当額は頂かないと、事業者としては成り立たなくなってしまうでしょう。

後見人、後見監督人の報酬目安

信託監督人による対応がバランスが良い

 そこで、結論として信託監督人がお勧めの形です。信託監督人の業務範囲は、受益者代理人ほど広範なものではありませんが、事後支援の必要性①~③の条件は満たすことが可能です。信託監督人業務に対応している専門家は少なく、費用相場というものが難しいのですが、一般論と致しましては、受益者代理人よりは安く、アドバイザーよりは高いといったところになるでしょう。

司法書士 飯田 真司

<strong>飯田 真司</strong>

名古屋市 家族信託・相続相談センターの司法書士飯田真司と申します。大学在学中はお笑い芸人を目指していたものの、挫折し、司法書士の道へと方向転換致しました。司法書士として頑張りつつも、たまに漫才イベントを企画しています。

専門分野・得意分野
民事信託、相続、財産管理
資格
  • 司法書士(法人登録番号:11-00552、登録番号:6918)
  • 簡裁代理(認定番号:1401068)
所属団体名
東京司法書士会
所属事務所
司法書士法人クラフトライフ
所属事務所の所在地
東京都世田谷区用賀4丁目28番21号

活動実績・専門分野

財産の管理・承継に関するリスクマネジメントとその手続きを専門分野とする。司法書士の専門である法務だけでなく、税務、財産活用等多角的な視点による提案力が強み。大手保険代理店、医療法人、社会福祉協議会等、セミナーや勉強会実績多数。
2021年、2022年民事信託士試験サブチュータ―
2023年 東京司法書士会民事信託業務検討委員会委員
2024年 東京司法書士会資産凍結及び相続対策業務推進委員会 副委員長
司法書士として民事信託や相続業務に取り組むと共に、財産管理・承継に係る総合的なコンサルティング業務を行う、株式会社グッドライフパートナーズの代表取締役も務める。

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