相続税計算における生命保険控除をわかりやすく簡単に解説!

生命保険と相続税

生命保険は、被保険者にもしものことがあった場合に、まとまったお金を家族に残すことを目的とした保険です。「自分の身に何かあったら家族が困るから」と、故人が生命保険をかけているケースも珍しくはありません。生命保険にはいくつか種類がありますが、相続税に関係しているのは以下の3種類です。
・死亡保険金
・満期保険金(学資保険など)
・個人年金保険
ここでは、被保険者が亡くなった時に支払われる死亡保険金と、相続税との関係について解説します。

生命保険に相続税がかかるのはなぜ?

死亡保険金とは、被保険者が亡くなった時に、受取人に対して支払われる保険金のことです。死亡保険金は、故人が生前所有していた財産と異なるため、民法上では相続財産とはみなされてはいません。「それならなぜ相続税がかかるのか」と疑問に思うかもしれませんが、死亡保険金は被保険者(被相続人)が亡くなったことをきっかけに発生し、相続人が受け取ります。このことから、税法上では死亡保険金を「みなし財産」とし、相続税の課税対象としています。

みなし財産には、死亡保険金の他に以下の種類があります。
・死亡退職金
・功労金
・死亡前7年以内※に贈与した財産
など。
※2024年1月1日以前は、3年以内でした。延長された4年間の贈与は、総額100万円まで非課税です。

相続向けの生命保険の種類

死亡保険金を受け取ることのできる生命保険には、以下の種類があります。
・定期保険
・養老保険
・終身保険(一生涯保障)

この中で特に相続対策に向いているのが、終身保険です。定期保険と養老保険には保険期間が決まっていますが、終身保険には終わりがなく、相続時にまとまったお金が必ず入ります。

生命保険の非課税枠と計算例

相続税の計算には、生命保険の非課税枠が設けられています。
・非課税枠の計算式:「500万円×法定相続人の数」

ここでいう法定相続人とは、民法で定められている相続人(配偶者や子、父母などの血族)のことをいいます。法定相続人が受け取る生命保険の金額が非課税枠よりも少なければ、相続税はかかりません。逆に非課税枠よりも上回る場合は、その差額分に対して相続税が発生します。

例えば、父が亡くなり母(父の配偶者)と3人の子が遺産を引き継ぐ場合の法定相続人の数は4人です。
①死亡保険金2,000万円を4人の法定相続人で引き継ぐ場合
2,000万円-(500万円×4人)=0円

②死亡保険金5,500万円を4人の法定相続人で引き継ぐ場合
5,500万円-(500万円×4人)=3,500万円
②のケースでは、3,500万円に対して相続税がかかります。

生命保険控除と基礎控除

相続税の計算には基礎控除があり、相続税は課税価格(課税対象となる財産額)から基礎控除を差し引いた額(課税遺産総額)に対してかかります。
・基礎控除の計算式:「3,000万円+(600万円×法定相続人の数)」
・課税遺産総額の計算式:課税価格の総額-基礎控除額

もし、課税遺産総額が基礎控除よりも少なければ相続税はゼロ円です。逆に基礎控除額よりも上回る場合は、相続税が発生します。なお、生命保険の非課税枠と基礎控除は併用可能です。

生命保険に贈与税がかかることはある?

生命保険に贈与税が課されるケースは、以下のように被保険者(保険の対象者)・受取人(保険金を受取る人)・保険契約者(保険料を支払う人)がバラバラである場合です。
・被保険者:故人
・受取人:子
・保険契約者:故人の配偶者

上記の例では、支払われる死亡保険金は配偶者から子への贈与とみなされるため、相続税ではなく贈与税が課されます。相続税が発生するのは、保険契約者である故人を被保険者とし、受取人を法定相続人にしていた場合です。

税理士 永田 朋成

永田 朋成

私の父は1972年に税理士事務所を創業し、私は1990年から父と共に税理士の仕事を生業としております。
その父親を2008年に亡くし、実際に相続を経験いたしました。また現在85歳の母親がおり、何とも言えない不安感の様なものも抱えております。
同じように、近い将来の不安感を抱いていらっしゃる皆様のお気持ちにもきっと寄り添えるのではないかと考えています。
大切な未来の為にお気軽にご相談いただければ幸いです。

専門分野・得意分野
相続、事業承継、信託財産管理会計、税務
資格
  • 税理士(法人登録番号:4403-1 登録番号:74788)
所属団体名
名古屋税理士会
所属事務所
税理士法人felicia(フェリシア)
所属事務所の所在地
愛知県名古屋市中区錦2丁目4−3 錦パークビル 5F

活動実績・専門分野

企業の税務・会計を中心とした総合支援を得意とする傍ら、事業承継・相続にも精通。
近年では、財産管理の問題を深刻に受け止め、家族信託にも積極的に取り組んでいる。
「当事者目線」を大切にし、自身の経験を踏まえた親身な対応を心掛けている。

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