家族信託に掛かる費用を司法書士がわかりやすく簡単に解説!
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その他の費用が必要となるケース
不動産の名義が故人となっている場合
不動産を信託財産とする家族信託では、信託契約後に受託者への不動産名義変更が必要となりますが、この前提として、不動産名義が委託者となっている必要があります。
そのため、相続登記がされておらず、故人名義となったままであるような場合には、その相続登記手続きを先に行う必要があり、相続登記手続きに伴う登録免許税は、不動産の固定資産税評価額の0.4%が掛かります。また、司法書士に依頼する場合には、司法書士の報酬も別途必要となります。
不動産の名義人の住所や氏名に変更がある場合
不動産の名義が故人となっている場合と同じで、不動産の登記簿上の住所や氏名が、現在(信託登記申請時に添付する、委託者の印鑑証明書上の住所氏名)と異なる場合には、登記簿上の住所や氏名の変更登記手続きを先に行う必要があります。
住所や氏名の変更登記に掛かる費用は、登録免許税が、不動産の個数×1,000円掛かります。また、司法書士に依頼する場合には別途司法書士の報酬が生じます。
不動産の分筆が必要な場合
家族信託を組成するに当たり、土地の分筆をすることがあります。
例としましては、賃貸物件は長男に、自宅は長女に承継させたい場合に、賃貸物件と自宅の敷地が同一地番であると、賃貸部分と自宅部分における土地それぞれの権利を分けて処理することが困難となります。
そのため、土地を、賃貸物件の敷地部分と、自宅の敷地部分に分筆した上で、長男と長女それぞれを受託者とする二つの信託契約を行うことがあります。
既存債務がある場合
金融機関からの借入があり、担保提供している不動産を信託財産とする場合には、家族信託による不動産名義変更について、その金融機関の承諾を得る必要があります。承諾を得ずに行ってしまうと、一括返済を求められるリスクがあるためです。これは、借入の際の金融機関との契約内容に、譲渡する際の事前承諾を要する旨が記載されているためです。
そして、金融機関により対応は異なりますが、家族信託により不動産名義を受託者に移す際には、委託者から受託者への債務引受を求めることがあります。債務引受が必要な場合には、家族信託による不動産名義変更後、債務引受による債務者変更等の登記が必要となり、この登記は、自分で行うことはできず、必ず司法書士が行うこととなるため、司法書士の登記費用が追加で掛かります。
遺言を別途作る場合
家族信託は遺言と同様の機能を備えていますが、この機能は、信託財産のみのものです。信託財産としなかった財産や、信託することのできない財産(定期給付される年金等)については、承継者が決まっていない財産となり、遺産分割協議が必要となります。
遺産相続手続きを円滑なものとされたい場合には、遺産分割協議を省くことが重要で、遺産分割協議を省くには、遺言が必要となります。
そして、遺言作成を別途行う場合には、公正証書で作成するのであれば、公証役場費用が掛かり、司法書士や弁護士に依頼するのであれば、その費用が別途必要となります。