家族信託に掛かる費用を司法書士がわかりやすく簡単に解説!
- 公開日:
- 更新日:
信託組成後の支援を受ける場合の費用
信託組成後の支援とは
家族信託は作って終わりではなく、作ってから受託者の業務が開始します。受託者の業務としては、信託財産の管理や受益者への金銭給付等の他に、日常業務として、信託財産の目録作成、会計帳簿の作成と記帳業務、会計資料の作成、必要に応じて、税務署への毎年の届出があります。
また、最も気をつけたい事項として、信託契約書のメンテナンスがあります。家族信託は新たな仕組みであることから、法務、税務、金融機関対応と、契約時とは異なる状況になり、信託契約の修正が必要となる可能性があるため、その要否をモニタリングしていくことが重要です。
信託組成後の支援とは、こうした信託組成後に必要なる業務等を支援するものです。
信託組成後の支援の形としては、次の3パターンが考えられます。費用目安含め、それぞれ簡単にご説明致します。なお、それぞれのご説明の前に、費用の参考となる後見の場合の費用と、それぞれの端的な比較図を記載します。
信託監督人の費用目安
信託監督人とは、信託法に基づく地位であり、受託者が適切に業務を行っているかを監督する立場あるとともに、受託者業務の相談や指導を行います。後見制度における監督人と近いです。信託監督人は、受託者に対し会計等業務状況についての報告を求めたり、信託財産に重大な損害をもたらす恐れのある受託者の行為を差し止めたり取り消したりする権限を持ちます。この権限があるという意味が、上記表における強制力です。
信託監督人業務を行っている事業者は極めて少なく、費用の目安というのが難しいのですが、類似業務である後見監督人の費用が参考になるかと思います。以下が後見監督人報酬の目安ですが、信託監督人の業務範囲は後見監督人よりも狭いため、以下の金額の半分位が妥当な目安と言えるかもしれません。
受益者代理人の費用目安
受益者代理人とは、その名の通り、受益者を代理する者です。代理する受益者の権利に関する一切(信託42条の規定による責任の免除に係るものを除く)の裁判上又は裁判外の行為をする権限を持ちます。受益者代理人の業務範囲は信託監督人よりも広く、その権限も責任も重いです。
受益者代理人に業務として就いている専門家は極めて少なく、費用相場はまだありませんが、後見人に近い業務負荷が想定されることから、後見人と同レベルが目安となると考えられます。
法務顧問やアドバイザーの費用目安
家族信託の運用に当たり、受託者が適正な運用を出来るように、助言をし、また相談相手となる形です。簡単に言い換えますと、「何かあったら相談対応しますよ」というものです。
信託法上の地位ではなく、受託者に対し強制的な権限を持たないため、受動的な対応となり、信託運用の安全性に寄与する性質のものではないと言えます。