スマート家族信託(おやとこ)とは?
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受託者の信託事務作業を効率化する家族信託専用アプリを提供
家族信託の運用が始まると、受託者(財産を管理する人)の日常業務として会計処理業務があります。具体的には、会計帳簿を付けて、会計資料を作成し、必要に応じて税務署への届出を行うのですが、これがなかなか大変です。
「おやとこ」(スマート家族信託)では、これらの煩わしい業務負担を大幅に軽減するため、独自の家族信託専用アプリを提供しています。会計資料や税務署への提出書類はすべて自動生成されるので、家族信託を簡単に、安心して運用することができます。
「おやとこ」の注意点は、「担当者の力量」「費用が高額になる可能性」「事後支援が不明確」の3点
家族信託は、活用すれば認知症への備えになるだけでなく、安心して豊かな老後を過ごすための、財産の管理から相続に至るまでの取り決めを行う仕組みです。信託内容を柔軟に設計できることから相続対策としても注目されています。
実際に家族信託を検討する際には、老後の生活保証を含めたライフプランニング、財産の管理、活用、円滑・円満な財産継承に至るまで、多角的な視点で総合的にベストな仕組みを作り上げることが成功のポイントとなります。相続税をはじめとした税対策も欠かせず、法務・税務面で深い知見をもった専門家の視点がもとめられます。
さらに、ついつい見落とされがちですが、家族信託は信託契約を結んで終わりではなく、その後長期にわたって運用していくものです。現実的には、運用開始後も継続的に外部のサポートを受ける必要があります。
それらを踏まえて、「おやとこ」(スマート家族信託)に相談する際の懸念点をまとめてみます。
司法書士、弁護士が対応するとは限らない
「おやとこ」(スマート家族信託)では、「家族信託の専門家が対応」と謳ってはいるものの、弁護士、司法書士と特定はしていません。依頼しても、必ずしも国家資格をもった専門家が当たるとは限らず、国家資格をもたない担当者がつく場合もあります。
担当者によって、その力量に差がある可能性もあります。
トータルでは初期費用が高額になる可能性がある
「おやとこ」(スマート家族信託)は、初期費用は税込み55,000円~と謳っていますが、あくまでこれは信託財産が500万円の場合の最低金額。実際は信託する財産の金額を基に算定されるので注意が必要です。
信託財産が500万円から上がれば、提示されている計算式にしたがって初期費用もアップします。加えて、これとは別に、公正証書作成や登記の費用がプラスされるほか、信託財産に不動産が含まれる場合にも追加費用が発生します。
「おやとこ」(スマート家族信託)の初期費用は、一見すると安く見えますが、実際には高額な費用がかかる可能性があります。
アプリの提供以外の部分で、事後支援が明確になっていない
「おやとこ」(スマート家族信託)は、家族信託の運用サポートとして、受託者(財産を管理する人)が行う会計処理業務を効率化する家族信託専用アプリを用意していますが、それ以外の事後支援のサポートについてはあまり明確になっていません。
ただ、ここに大きな落とし穴があります。家族信託はまだまだ歴史が浅く、現時点ではまだ問題となっていないのですが、家族信託は信託契約が終わったら終わり、では、将来的にはリスクが大きすぎるからです。具体的には、今後の税法改正、関連通達、先例、銀行実務の変化などによって、信託契約時点では適切で問題のない内容であっても、数年後には問題が生じるといったことが起こり得ます。
つまり、運用が長期間に及ぶ家族信託では、税法改正、関連通達等を常にモニタリングし、家族信託の運用に支障が生じないよう契約書等の修正を行う必要があります。これらをすべて個人で行うことは難しいので、家族信託を検討する際には、長期的に事後支援が受けられるかどうかを確認することも重要です。
外部に依頼する事後支援の形として、現状、「受益者代理人」「信託監督人」「受益者代理人」「受託者アドバイザー」という3種があります。その中で、価格面、業務範囲の両面から考えて最もバランスが良いのが「信託監督人」です。事後支援として「信託監督人」のサービスを提供しているかどうかは、家族信託を依頼する際の一つの判断基準になります。