本当に大丈夫?家族信託のデメリットと回避
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具体的にやるべきことは、家族信託の相談先の選択
さて、家族信託のデメリットとその回避について、ご案内をして参りました。様々なデメリットがあるものの、結局のところ、資産凍結問題は、ご高齢になれば普遍的なリスクとして生じてしまいますから、この対応策として有効な家族信託の有用性は変わりません。
では、具体的に、お客様の立場としては、何をすべきかについて、家族信託のデメリットを一旦まとめた上で、ご説明させていただきます。
デメリットのまとめ
財産活用上のデメリット
・ 借入先の制限
・ 金融資産運用委託先(証券会社等)の制限
・ 信託した財産と、信託していない財産との間でにおける損益通算が出来ない
・ 空家特例の3,000万円控除が使えなくなる
事務負担のデメリット
・ 「親」ではなく、「他人」の財産を託された立場として、会計等管理業務を行わなければならない
相談・依頼先の選択
家族信託は、新たな仕組みであることから、社会インフラが追い付いていない側面があり、また、監督機能が任意であることから、コンプライアンスを軽視する企業を利用すれば、悪用も出来てしまう、例示したデメリットに限らない危険性が問題としてあります。
こうした問題を回避するには、弁護士や司法書士のような、法務知識に長けていて、かつ、問題を起こせば資格喪失というリスクを抱える専門職に相談することが必須です。
しかしながら、家族信託の机上の知識はあっても、実運用で問題となる、金融機関等の、社会実態上の問題を把握していなかったり、財産の活用や、ライフプラン、相続税の観点がない弁護士や司法書士がほとんどです。
家族信託というのは、課題解決ための一つのツールに過ぎず、それが目的ではありません。目的は、本人・配偶者の生活保障や税対策を含めた継続的財産活用、円滑な財産承継等であり、これらを達成するための有用な仕組みとして、家族信託を利用します。
そのため、家族信託を高度なレベルで提供するには、顧客の本質的な望みを理解し、これを達成するための課題を抽出し、適切な対応策の組み合わせを提示、実行するという段階的作業を要し、そのためには、法務、税務・会計、財産の維持・活用、ライフプランという多角的な観点とこれを総合したプランニング能力が必要となります。
家族信託の様々なデメリットや危険性を回避し、後悔しないためには、こうした専門家に相談ないし依頼することが重要です。